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埼玉県建築士事務所協会のホームページをリニューアル|会員拡大を実現する設計とは【実績レポート】Vol.1

【実績紹介】 2025.06.03

こんにちは。Web活用とマーケティング支援を行っている関谷 匠です。
今回は、私がご支援した「埼玉県建築士事務所協会ホームページリニューアルプロジェクト」の背景と、その企画段階の設計意図についてご紹介します。

本連載では、「なぜ今リニューアルが必要だったのか」「どのような改善策を講じたのか」を実例を交えながら解説していきます。Webサイトの役割を見直したいとお考えの協会・団体の方々にも、参考になる内容をお届けします。

背景:「なぜ協会HPが足かせになっていたのか」

埼玉県建築士事務所協会様では、「会員数の伸び悩み」が長年の課題となっていました。
その原因はさまざまに考えられていましたが、調査を進めていく中で、「ホームページが新規会員の獲得導線として機能していない」という根本的な問題が浮き彫りになったのです。

データ分析で判明した2つの課題

①指名検索に偏った集客構造

Googleアナリティクスのアクセスデータを分析した結果、流入の大半が「埼玉県建築士事務所協会」などの固有名詞検索=指名検索でした。つまり、すでに協会の存在を知っている人、何かの用事があって訪れている人ばかりだったのです。

他県の建築士事務所協会では、「建築士 無料相談」「設計事務所 登録」など、ニーズ検索での流入が一定数あり、幅広い検索意図に応えていました。このギャップが大きな違いでした。

②重要ページでの“迷い”の発生

さらにサイト内の行動データを見ると、「建築士事務所の登録」「年間報告」のページで滞在時間が長く、直帰率も高いことが判明。
これは「熱心に読まれている」のではなく、「必要な情報にすぐたどり着けずに迷っている」ことを示しています。

設計上の構造課題とUIのボトルネック

上記のデータをもとに実際のサイトを確認したところ、いくつかの明確な構造的問題がありました。

課題内容
導線の不備トップページに戻るボタンがない、パンくずリストが未整備
階層構造の浅さお知らせやコンテンツがすべてフラットに並んでおり、文脈が見えない
URLの日本語表記「〇〇.jp/年間報告(日本語)」のような形式で、SNSやメールで共有しづらい
訪問者に向けた設計ではない掲示板的に情報を“貼る”だけの構造。用途前提のユーザーしか利用しづらい

要するに、「行政機関の掲示板」的な作りで、見込み会員へのナビゲーションが存在しないのです。

建築士がつくる「家」と同じ発想で、Webサイトも「設計」する

この現状を、建築士の皆さまならこう例えるとご理解いただけるかもしれません。

法令・規制を守って建てた家だけれど、住む人の暮らしを想定していない。だから動線が悪く、住み心地が悪い。

Webサイトも同様です。検索エンジンの要件(=建築法規)を満たすだけでは十分ではなく、「訪れる人の行動動線」や「利便性」まで設計する必要があります。

「会員になりたい」ではなく「なんか気になる」から始める

今回のプロジェクトでは、「会員になろうと思っていない人」がふと訪れて、興味を持ち、ゆくゆくは入会に至るような導線をつくることがテーマでした。

そのために必要なのは、以下の要素です:

  • 接点の拡張:ニーズベースの検索キーワードに対応するコンテンツ整備(例:「無料相談」)
  • 迷わせないUI:ナビゲーションの再設計、情報構造の明確化
  • 共感と価値の提示:協会の存在意義や、入会によるメリットを明確に伝える
  • 確実に訪れるページに導線を組み込む:たとえば「登録申請」や「年間報告」のページにこそ、入会導線を配置する

入会案内ページも「紙を配る」から「説得する」へ

これまでの入会案内は、「PDFで提出資料を配布するだけ」=必要最低限の情報提供のみを行う形式でした。しかし、初見の人にとっては、これは心理的ハードルが高いもの。

私たちは、「共感→理解→納得→行動」というステップを設計し、特に「共感」と「納得」の部分に力を入れる構成にリニューアルを進めています。

今回のリニューアル方針のまとめ

  • 行政的サイトから、マーケティング的サイトへ
  • 検索からの流入増加を見越した構造へ
  • 訪問者を“会員化”する導線設計へ

ただ情報を並べるのではなく、「協会の提供価値」をストーリーとして伝えるサイトへ。
そして「なんとなく良さそう」と思ってもらう入り口から、「やっぱり入会しようかな」と思ってもらう育成導線を意識したリニューアルを目指しています。


次回予告:リニューアル設計図=ワイヤーフレームを公開

次回は、実際に制作したワイヤーフレーム(設計図)をベースに、ユーザーの行動をどのように導くか、ページ設計の具体例を交えてご紹介します。

「見た目の刷新」ではなく、「設計思想の刷新」をどう行ったのか、その考え方に迫ります。


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