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自社だけの勝ち筋を見つけるフレームワーク AB3C分析の実践|マーケティング戦略講座 [2] 

【コラム】 2023.12.06

マーケティング戦略設計の要は顧客を知ること。今回は「AB3C分析」を使って顧客の価値観とニーズ、環境、競合、自社をそれぞれ分析し、あなたの事業やサービスが、どんな人に、どんな価値を提供できるのか明確にします。

この記事ではマーケティング戦略に必要なフレームワークの使い方とポイントを事例とともにお伝えします。ご自身・自社のマーケティング戦略にお役立てください。

このコラムについて

このようなお悩みに応えます

  • マーケティング戦略設計の全体像を知りたい
  • 経営理念、ミッション・ビジョン・バリューを明確にしたい
  • 社内の目線を揃えたい

マーケティング戦略ワークショップ

  • 実際に手を動かしたいが、1人では迷走してしまう
  • 壁打ちしてほしい!

markeTransでは、このマーケティング戦略を実践するワークショップを準備中です。詳細が決まり次第、告知します。

講座内容

  • 戦略上位概念とAsIsToBe 
  • AB3C分析←【イマココ】
  • ターゲット設定(セグメンテーション・応えるニーズ・ペルソナ設定)
  • ブランド設計(連想マップ・ポジショニング)
  • POP・POD
  • ブランドアイデンティティ
  • 提供価値の言語化、マーケティングミックス(4P 分析)

戦略は顧客から考える:顧客分析

AB3C分析は3C分析(顧客・競合・自社)に加えて提供価値、差別的優位点を足したフレームワークで、戦略立案の基礎になる情報です。事業運営で迷ったときこの内容がまとまっていれば一貫性をもった判断ができます。

まず顧客像を言語化しましょう。自社のポジションも競合像も相対的なものです。顧客像がブレてしまうと競合も自社もブレてしまいます。

読者像が定まらないと文章が書けないのと同じですね。

私は事業開始から3年経っているので、過去のお客様をもとに考えればよいですか?

ふじねさんの場合はお客様アンケートやソーシャルリスニングをしてみるとよいと思います。

ここでは顧客ニーズを探るときに役立つ切り口を3つご紹介しましょう。

ニーズの探り方①:顧客の「不安」「不満」「不足」「不便」

顧客が置かれている状況や既存の商品・サービスに対し、どんな「不」を抱いているか。

例)WEBライティングの場合

不安:ライターが締切を守れるか・期待に沿う文章を書いてくれるか
不満:顧客自身が文章スキルに自信がない・じっくり考える時間がない
不足:目的達成のためにライター以外のコストがかかる(デザインなど)
不便:得意分野がわかりづらい・執筆に時間がかかる など

ニーズの探り方②:顧客の「心理的ハードル」

顧客があなたの商品・サービスを購入するとき、どんな心理的ハードルがあるか。

例)WEBライティングの場合

  • ライターの人柄・相性が合うか
  • 金額感は合っているか
  • やりとりはスムーズか
  • 想定通りのクオリティで言語化してくれるか

ニーズの探り方③:顧客の「買わない言いわけ」

顧客があなたの商品・サービスを知ったとき、買わない選択をする理由はなにか。

例)WEBライティングの場合

  • 予算が足りない、見合わない
  • 他の人員に任せられる内容(デザイナー・ディレクターなど)
  • まだ自分の中で固まっておらず、話すことができない
  • 取材は緊張するし、お金も時間もかかる

これらの切り口から、顧客がどんなニーズを持っているか探ります。

ただし、ここでは具体的なターゲット像まで落とし込まず、「この市場にいる顧客群のニーズ」を考えましょう。今は可能性を洗い出し、「ターゲティング」や「ペルソナ」を作る段階で具体的に絞ります。

顧客のニーズ・リソースをもとに考える:競合分析

顧客像がある程度つかめたところで競合分析です。顧客分析で得たニーズ、リソースをもとに、固定概念を捨てて本質的に考えるのがコツです。

例えば、ハーゲンダッツの競合はどこだと思いますか?

うーん……サーティーワンアイスクリームとか、レディーボーデン?

正解はプレミアムモルツ。「コンビニで買える贅沢」というニーズで考えると競合になります。

競合は同業他社とは限りません。

顧客リソースをもとに競合を考えるのもひとつの手です。

Netflixはライバルを「睡眠」と答えて世の中を驚かせました。人間の可処分時間(自由に使える時間)を奪い合う相手が睡眠だったんですね。

なるほどー。頭を柔らかくして考えなくちゃ……。

顧客ニーズから競合を考える

顧客像をもとに、どんなニーズ、リソースが考えられるか検討します。商品サービスを使う様子を思い浮かべながら書き出します。

例)WEBライティングのニーズ(ふじねの場合)

顧客のニーズ考えうる競合
デザインのコピー・文章がほしい デザイナー、WEBディレクター、コピーライター、生成AI、書籍、セミナー・勉強会
デジタルマーケティング戦略を立てたいマーケター、コンサルタント、広告代理店
ブログを書きたい同業ライター、生成AI、日記、書籍、セミナー、勉強会
宣伝したいチラシ、POP、動画、インフォグラフィック
壁打ちをしながら考えをまとめたいコーチ、協力者(友達)
発信したい(文字以外のツールで)動画、音声コンテンツ

次に、その競合がどうやって顧客のニーズを満たしているか、どんな強みを発揮しているのか考えます。

例)WEBライティングにおける競合(ふじねの場合)

競合顧客のどんなニーズを満たしているか
ChatGPT ・いつでもすぐ使える・基本無料・あっという間に文章ができる
マーケター、コンサル・戦略をもとに文章を書いてもらえる・依頼のついでに文章を書いてもらえる
デザイナー、WEBディレクター・依頼のついでに文章を書いてもらえる・テキスト以外の表現も提案してもらえる
動画コンテンツ・文章に頼らない表現をする
(文章読みたくない、すぐ伝わる)
書籍、ライティングセミナー・顧客自身が伝わる文章を書けるようになる

競合分析の内容は講座後半の「ポジショニングマップ」で使います。一度で全部を書こうとせずに、気づいたときに書き出しておきましょう。

SWOT分析+PEST分析で今を俯瞰する:自社分析

最後は自社について調べます。ここではフレームワーク「PEST分析」「SWOT分析」を使います。

「PEST分析」は外部環境を政治(Politics)、経済(Economy)、社会(Society)、技術(Technology)の4つにカテゴライズする分析手法です。事業に関係のある流行、変化の兆し、法改正などを洗い出し、「SWOT分析」の外的要因、機会(Opportunity)、脅威(Threat)を考える材料にします。

自社分析よりも先に、外部環境から分析するんですね。

ご自身の強み・弱みは外部環境により相対的に変わるものです。最初に「強み」「弱み」を考えるよりも、ウォーミングアップを兼ねてPEST分析から行うのをオススメしています。思いつくものを洗い出してみましょう。

項目内容
政治的要素・インボイス制度開始(2023年10月から) 
・自治体の移住推進・起業推進事業
・事業継続補助金
経済的要素・ガソリン高騰
・物価高(特に電気代)
・円高(スマホ・PC高い)
社会的要素・地方経済の縮小
・フリーランスの増加
技術的要素・Chat GPTなど、生成AIの進化と普及
・リモートからオフライン重視に
PEST分析:ふじねの場合

PEST分析のカテゴライズが難しく感じるかもしれませんが、ここでは正確性を問いません。自社への影響を把握できていればOKです。

PEST分析で洗い出したものを、機会と脅威に当てはめてみました。

ふじねの場合

ふじねさんの場合、事業継続補助金はクライアントの負担なく事業提供ができる機会として捉えられるかもしれません。

あと脅威として、フリーランス自体が増えているので、今よりも競合が増える点にも着目しておいたほうが良さそうです。

なるほどー。

ちなみに、コロナ禍でテレワークの環境整備が進んだことは、ふじねさんの強み・機会として有利に働いたのでは?

まさにそうですね。ちょうどコロナ禍が始まった2020年に起業したので。

そう考えると、環境の変化に合わせて自分の特徴を強みと捉えて活かすか、弱みと捉えて対処するか、自分がどう捉えているのかSWOT分析で明確に言語化できますね!

次回は「ターゲット分析」

顧客、競合、自社の情報を俯瞰できたところで、次は商品サービスと届ける相手=ターゲットを明確にする3つのフレームワークを使います。

次回はこれまでの分析をもとに戦略設計をします。いよいよですね!

私が一番知りたかった内容です。地に足ついた経営をするためにも、きちんと押さえたいと思います!

この講座で使うフレームワークはnote「フレームワークを活用したマーケティング戦略の描き方を解説します!」でまとめています。あわせてご一読いただき、ご自身・自社の戦略設計にご活用ください。

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