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顧客像を明らかにするセグメント・ターゲティング・ペルソナ設計のポイント|マーケティング戦略講座 [3] 

【コラム】 2023.12.11

今回はAB3C分析で洗い出した情報をもとに、商品を届ける対象(誰に届けるのか)を具体的に決めます。「この商品は誰の、どんなニーズに応えて購入されるのか」。市場全体を俯瞰してから具体的に絞り込むことで迷いなく戦略を実行に移すことができます。

この記事ではマーケティング戦略に必要なフレームワークの使い方とポイントを事例とともにお伝えします。ご自身・自社のマーケティング戦略にお役立てください。

このコラムについて

このようなお悩みに応えます

  • 顧客像と顧客のニーズを整理したい
  • 自社の商品の強みをはっきりさせたい
  • 効果の高いPR戦略を立てたい

マーケティング戦略ワークショップ

  • 実際に手を動かしたいが、1人では迷走してしまう
  • 壁打ちしてほしい!

markeTransでは、このマーケティング戦略を実践するワークショップを準備中です。詳細が決まり次第、告知します。

講座内容

  • 戦略上位概念とAsIsToBe 
  • AB3C分析
  • ターゲット設定(セグメンテーション・応えるニーズ・ペルソナ設定)←【イマココ】
  • ブランド設計(連想マップ・ポジショニング)
  • POP・POD
  • ブランドアイデンティティ
  • 提供価値の言語化、マーケティングミックス(4P 分析)

市場を俯瞰し絞り込む:セグメンテーション・ターゲティング

「誰の」「どんなニーズに応えるか」を具体的にするほど、迷いなく行動に移せるものです。まずはSTP分析のセグメンテーション・ターゲティングを行い、市場全体を俯瞰し対象を絞り込みます。

セグメンテーションとは、市場に存在するニーズを汲み上げ、MECEに(漏れなく・ダブり無く)書き出す作業です。ワークシートの上部と左側のディメンションに分析軸(ニーズやユーザーの特徴など)を書き込みます。

セグメンテーションのポイント

  • 市場を切り分ける ※この段階でターゲティングをしない
  • ニーズ起点で考える
  • 漏れなくダブりなく、MECEに書き出す

何を書けばいいのかイメージしづらいと思いますので、コツを先にお伝えしますね。

まず、ワークシートの内側に人々がいる様子をイメージしてください。そこにはどんな属性の人がいて、どんなニーズがあるのかグループ分けをします。

例えばフォトグラファーのニーズはこんな感じに分けられると思います。

上の例では、縦軸に利用シーン(個人or商用)横軸に撮影したいものをディメンションに設定し、それぞれのニーズ挙げました。

いろいろなやり方があるのですが、私はニーズ・利用シーンを挙げてセグメントしていくのが、MECEに書き出すにはいいんじゃないかと思っています。

これは難しい……!

ご自身の得意分野、あるいはライターの提供価値が求められる場面といった視点で考えてみましょう。そこにヒントがあるはずです。

書き出せたら次は、セグメントを分けてみましょう。

私は、ライティングの用途と、お客様の属性で分けてみました。

OKです。セグメンテーションで押さえるポイントは市場を切り分ける点にあります。個人事業主の場合、ご自身で対応しきれないほど広く捉える必要はありません。ご自身、自社のドメイン(事業領域)にとって適切な市場範囲を見極めましょう。

次はターゲティングに移ります。

ターゲティングのポイント

  • やらない選択をする
  • 注力する項目を選ぶ

まず「やらない選択」をします。自社・自分の強みが活かせない、事業にとってプラスになる可能性が低いもの(市場規模が小さい、レッドオーシャンになっている等)を除外しましょう。

私は脚本や書籍の経験がないので外れそうです。議事録は文字起こしだけならツールで十分でしょう。あとは……。

戦略は自社のリソース配分を決めること。ここで「やらない」と決めておけば、実行フェーズで迷う場面が減ります。

確かに。リソースを効率よく使うために「やらない選択」は大事ですね。

次に、「注力する項目」に印をつけましょう。決め手は十分な市場規模があるか、成長性が見込めるかというところですね。

個人事業主の場合、会社組織とは違う視点を意識しておくと良いと思います。例えば「ペネトレーション」は地域や市場、製品カテゴリーにおける浸透度合いを表す言葉です。そのカテゴリーで自分のシェアがどれくらい得られるかという視点ですね。

私の場合、全国で考えると浸透度は低いけれど、静岡県袋井市・森町で考えると、創業支援事業に参加して少しずつ浸透度が上がっていますね。

まさにそういう視点です。

あとは継続して依頼をしてもらえるか。ライフタイムバリューを考慮しながら、どの項目に注目すべきか考えると良いと思います。

なるほどー。こうしてまとめておくと、迷ったときに思い出せますね。

どんな価値を届ける?:ニーズの言語化

セグメンテーション・ターゲティングで顧客像が見えたら、届けるニーズを具体的にします。「何を」届けるのか。組織の場合は全員が共通認識を持てる言葉で示します。

応えるニーズのポイント

  • 組織・チームが共通認識を持てる言葉で書く

私の場合は、SEOライティングとインタビューライティングのニーズを考えるわけですね。

そのとおりです。どのワークにも共通することですが、書き出した言葉は迷ったときの道標になります。会社組織の場合は社員同士の共通認識になるよう、わかりやすく具体的に書きましょう。

とりあえず思いつくまま書き込んでみました。

私の視点で気づいたことをお伝えすると、ふじねさんの場合はSEOライティングというよりコンテンツマーケティングの方が近い表現になると思います。事業者の戦略を理解して、コンバージョンを目指すコンテンツを作られているので。

なるほど確かに。

「インタビュー書き起こし」も、ふじねさんの事業を語るには足りないような気がします。どんなニーズに応えるインタビューでしょうか?

お客様の傾向として、商品のことは語れるけれど「なぜその商品を売りたいのか」を語れない方が多い気がします。そのもどかしさを解決するのが私だと思っています。

そうなると単純な書き起こしというよりは、「クライアントの思いの言語化」、「傾聴し適切な表現に落とし込む」というような表現になりそうですね。

なるほどー! ひとりで考えると、案外、視野が狭くなってしまうものですね。

「誰」を具体的な人間像にする:ペルソナ設計

対象の市場を絞り込み、応えるニーズを明らかにしたあとは、具体的に届けたい人物像をペルソナにします。人間的な志向や属性よりも、事業と関連がある項目を具体的にしましょう。

ペルソナ設定のポイント

  • データもとに人物像を描く
  • 事業と関連する項目(表の下半分)を具体的にする

次はペルソナの設定です。ペルソナは次の講座の「ブランドアイデンティティ」をつくる上で重要な役割を果たします。

誰にメッセージを投げかけるべきか考えるためにペルソナを使います。ペルソナがどういう発想をするのか、実在する人物を想起できるくらいの精度で、想像ではなく実際の声やデータをもとに描きましょう。

ここはしっかり時間をかけないといけませんね。

ペルソナを考えるとき重要な項目に印をつけました。人物の属性(名前や年齢)に着目されがちですが、ここでは事業に関連する項目(赤枠)を重点的に具体化します。

ふじねさんのお客様は事業者になるので、企業規模(資本金・従業員数・店舗数)、使える費用は、支払える予算や規模感を押さえるために重要な要素です。

「課題解決するのに必要なその他の要素」は重要度の高い項目です。ここは、間接的に業務に関わる要素を書き込んでください。

私なら、ペルソナが経営者で課題が「発信する時間がない」「言語化が苦手」だった場合、課題解決の手段は「コンテンツ作成の外注」になり、必要なその他の要素は「打ち合わせの時間捻出」や「原稿確認」、「アイキャッチ画像の用意」などが挙げられそうですね。

そんな感じです。ケースバイケースでたくさん出てくると思うので、このペルソナが顧客になるために特に乗り越えなければいけない要素を書き出すと良いと思います。

必要に応じて項目を増やしてくださいね。

ひととおり埋めてみましたが、まだ悩んでいます。

ライターは事業者(経営者)と直接取引するケースと、代理店のプロジェクトに参画するケースがあると思うんです。自分が目指すペルソナ像に、どうやってたどり着けば良いのでしょうか。

自分が誰に、何を届けたいのかわからなくなったときは、戦略上位概念に立ち戻ってみましょう。

ふじねさんはビジョンに「事業者にとって」と掲げているので、代理店との付き合いに注力するとビジョンの実現が遠のいてしまいますね。

なるほど確かに! そうなると経営者のほうが合っていますね。こうやって決めたことに立ち返ることができるんですね。

次回は「ブランド設計」

ターゲットが明確になったところで、次はブランディングです。自分のポジションとブランドイメージを明確にします。

自分ごととなると難しいブランディング……。がんばります!

この講座で使うフレームワークはnote「フレームワークを活用したマーケティング戦略の描き方を解説します!」でまとめています。あわせてご一読いただき、ご自身・自社の戦略設計にご活用ください。

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