「アクセスが減っています」
「問い合わせ率が落ちています」
GA4を見れば、変化は見つけられます。
でも、そこで次の問題が出ます。
なぜ?
GA4をさらに眺め続ければ原因が出てくるとは限りません。
私はWeb運用で、GA4、Search Console、Microsoft Clarityをよく使います。
ただし、「3ツール全部を毎月チェックする」という使い方ではありません。
GA4で答えられなかった問いを、次のツールへ渡します。
GA4=どこが変わったか。
Search Console=Google検索結果上で何が変わったか。
Clarity=ページ上で何が起きていたか。
この役割分担で考えると、ツールを増やしても迷いにくくなります。
GA4の仕事は、まず「異変の場所」を絞ること
たとえば全体セッションが20%減ったとします。
ここで「SEOが落ちた」とはまだ言えません。
まず、分解します。
- Organic Searchか
- SNSか
- Referralか
- Directか
- 特定LPか
- 新規か再訪か
- モバイルだけか
- CVだけ落ちているのか
すると、
「全体は20%減ったが、ほぼOrganic Searchの減少だった」
「流入は同じだが、問い合わせページ到達だけ落ちた」
のように、問いを小さくできます。
GA4の段階では、原因ではなく症状を特定するイメージです。
ケースA:Organicが減った。Search Consoleへ
GA4で、自然検索からの流入だけが大きく減っていると分かりました。
次に知りたいのは、サイトへ来る前にGoogle検索上で何が変わったかです。
Search Consoleを見ると、少なくとも次のように分けられます。
表示回数が減った
そもそもの検索需要が減っている可能性があります。
季節要因やニュース需要など、サイト側だけではコントロールできない変化かもしれません。
表示回数は同じだが平均掲載順位が下がった
検索結果での露出位置が変わっています。
特定クエリ・LPに絞り、コンテンツや競合状況を調べます。
順位も表示回数も大きく変わらず、クリック率が下がった
タイトル、検索結果の見え方、競合SERPの変化などを候補にします。
GA4だけでは「サイトへ来なかった人」は見えません。
Search Consoleへ移る理由はそこです。
ケースB:流入は変わらない。でもCVが落ちた。Clarityへ
今度は逆です。
セッションはほぼ同じ。
重要ページへの流入も変わらない。
でも、問い合わせページへの到達率やフォーム完了が下がっている。
この場合、検索順位を調べても答えが出ない可能性が高い。
まず実際の画面を自分で操作したうえで、Clarityのセッション録画やヒートマップを確認します。
- CTAまでスクロールされているか
- 押せない場所を繰り返しクリックしていないか
- スマートフォンでメニューに迷っていないか
- フォーム途中で戻っていないか
GA4で見つけた「率の低下」を、人の操作へ戻して確認します。
Clarityで原因が証明されるわけではありません。
ただ、「このUIでつまずいているのでは」という仮説を立てる材料になります。
ケースC:PVが減った。悪化とは限らない
もう一つ、私が実際に経験したケースがあります。
サイトリニューアル前後を比較したところ、セッションやユーザーは増えた一方、PVは減りました。
PVだけなら「回遊が悪化した」と見えます。
しかし目的ページへの流入やエンゲージメントを見ると、ユーザーが以前より短い経路で目的へ到達している可能性がありました。
ここで重要だったのは、PVが下がった原因を無理に一つのツールで説明しないことです。
GA4で行動量を確認し、Search Consoleで流入前の検索状況を確認し、必要に応じてClarityでページ内行動を見る。
同じ変化でも、評価したい問いによって見る場所が変わります。
このケース自体の詳しい判断は別記事に譲りますが、診断フローとしては良い例です。
「3ツールの使い分け表」を作っておく
私なら、担当者向けには次のように整理します。
| 知りたいこと | まず見る | 次に見る候補 |
|---|---|---|
| どの流入が減った? | GA4 | Search Console / 広告媒体 |
| Google検索で何が変わった? | Search Console | GA4 |
| どのページで止まった? | GA4 | Clarity |
| ボタンが使いづらい? | Clarity | GA4で改善後を確認 |
| 改修後に成果が変わった? | GA4 | 必要に応じてGSC / Clarity |
この表で大事なのは「GA4なら何でも分かる」としないことです。
ツールを増やすのではなく、問いを受け渡す
分析がうまくいかないとき、つい新しいツールを増やしたくなります。
でも、問いが曖昧なままツールだけ増やすと、見る数字が増えるだけです。
私は、
GA4で何が変わった?
↓
その原因はGA4内で絞れる?
↓
検索前ならSearch Console
ページ内行動ならClarity
↓
仮説を立てて改善
↓
GA4へ戻って検証
という流れを基本にしています。
ツールごとの機能を覚えるより、今の問いはどのデータで答えられるかを考える方が再現性があります。
最後は必ず、改善後の数字へ戻る
Clarityで分かりやすい問題が見つかった。
Search Consoleで順位低下が見えた。
そこで修正した。
これで終わりではありません。
もう一度GA4へ戻ります。
目的ページ到達は変わったか。
CVは戻ったか。
別の指標を悪化させていないか。
原因分析は、原因らしいものを見つけることではなく、改善後に期待した変化が起きたか確認して初めて一周します。
レポートから「調査」へ進むために
GA4で数字を報告するだけなら、毎月同じ画面を見ればできます。
でも、「なぜ変わったか」に答えようとすると、GA4だけでは足りないことがあります。
そこで重要になるのが、ツールの数ではなく問いのつなぎ方です。
異変を見つける。原因候補を絞る。ユーザー行動で確かめる。改善する。再計測する。
この循環を作ることが、私にとってのWeb解析です。
関連する知見
レポートを作って終わらず、変化の理由を調べて改善後まで確認します。
