自社サイトをリニューアルしたのをきっかけに、ウェブ解析の自動化をいろいろ試しています。
最初は「MCPって面白そう」くらいの話だったのですが、気づけばGA4やSearch Console、サイト監査をまとめて、毎朝メールが届くところまで来ました。
今回は、その過程で何を考えて、どこで迷走したのかをまとめます。
自社サイトをリニューアルしました。
今回は見た目やコンテンツを変えただけではなく、これまで外部にお願いしていたサーバーやWordPressの管理も、自分で持つことにしました。
つまり、今までよりかなり自由に触れる環境になったわけです。
せっかくなので、いろいろ試してみよう。
自社サイトなら失敗しても自分で直せますし、使えるものになったらクライアント案件にも持っていけます。
そんなところから始まったのが、今回の実験です。
テーマは、
「ウェブサイトの運用やウェブ解析って、どこまで自動化できるんだろう?」
ただ、最初から日次レポートを作ろうとか、GA4とSearch Consoleをつなごうとか、そんな計画があったわけではありません。
そもそもの始まりは、
「MCPやってみたい!(よく分からんけど)」
くらいのところです。
ChatGPTやCodexから、自分のサイトのデータを直接見られるらしい。
なんか面白そう。
じゃあ、とりあえずやってみるか。
ここから、チャッピーことChatGPTとの迷走が始まりました。
最初から「日次レポートを作ろう」と思っていたわけではない
最初に考えていたのはMCPです。
ただ、話していくうちに、
「GA4も見られる?」
「Search Consoleも取れる?」
「どうせならSEOも自動化できない?」
「改善候補になりそうなキーワードを見つけて、次の記事案までAIに出させられない?」
と、どんどん話が広がっていきました。
さらに、GA4やSearch Consoleで分かるのは基本的に数字です。
でも、数字だけではUI/UXは分かりません。
だったらサイトそのものを見る仕組みも欲しい。
……と考えていくと、だいぶ話が大きくなってきます。
最初から完成形があったわけではなく、
「それもできる?」
「じゃあ、これは?」
とチャッピーに聞きながら広げていった感じです。
ところが、MCPを使わなくても結構できる
調べながら進めていく中で分かってきたのが、
MCPまで持っていかなくても、APIだけでかなりのことができる
ということでした。
だったら、まずAPIでできるところまで作ってみよう。
ここで一度、最初にやりたかったMCPから離れます。
とはいえ、方向転換したわけではありません。
MCPの先につなぐものを、先に作ることになったという方が近いです。
GA4のデータを取る。
Search Consoleのデータを取る。
サイトを巡回する。
改善候補を出す。
それらを一つにまとめる。
まずは、この土台を作ることにしました。
Google Cloud初心者、早速つまずく
ちなみに、自分はGoogle Cloudに詳しいわけではありません。
今回も、ほぼチャッピーに聞きながら進めています。
画面を見ながら、
「どれ?」
「次は?」
というレベルです。
最初にGA4のデータへアクセスするため、サービスアカウントを用意しました。
当初はJSONキーを作って接続する想定でしたが、サービスアカウントキーの作成がポリシーで禁止されていました。
予定していた方法が使えない。
じゃあ別のやり方にしよう。
ということで、Cloud Run上で処理を動かす構成に変更しました。
今回の構築はだいたいこんな感じです。
できない。
調べる。
別の方法を試す。
動いたら次へ進む。
最初から一直線ではありません。
GA4の数字は取れた。でも「取れた」だけだった
GA4 Data APIから数字を取得できるようになりました。
アクティブユーザー、新規ユーザー、セッション、ページビュー、エンゲージメント率。
日付を指定すれば、自社サイトの数字が返ってきます。
自分のサイトの数字がAPIから返ってくるだけでも、最初はちょっと楽しいものです。
ただ、すぐに気づきました。
数字が取れたからといって、まだウェブ解析にはなっていない。
例えば、
「昨日のセッションは24でした」
と言われても、それだけでは良いのか悪いのか分かりません。
だったら前日比を出そう。
ここまでは自然です。
ところが、その前日比で早速ひとつ問題が出ました。
前日比は出せる。でも、その比較はしていいのか
新サイトの正式な運用開始日は9月19日としました。
その前日の9月18日は、サーバー移行や各種検証をしていた日です。
つまり、普通の日ではありません。
でもシステムから見れば、ただの「前日」です。
単純に前日比較をすれば、9月19日と9月18日を比較します。
処理としては正しい。
でも、日次の運用監視としては適切ではありません。
ここで、
「リニューアルしたなら、旧サイトと新サイトを比較するのが普通では?」
と思う人もいると思います。
もちろん、それはやります。
ただし、それはリニューアル評価です。
今回作っている日次レポートは、毎日の変化や異常を見るためのものです。
なので、
旧サイトと新サイトを見るのは、リニューアルの成果評価。
新サイト稼働後の日々を比べるのは、運用監視。
同じ「比較」でも、目的が違います。
しかも9月18日は移行やテストアクセスも混ざっている特殊な日です。
そこで日次レポートでは、新サイトの基準日より前とは比較しないようにしました。
実際のレポートにも、
比較対象日が新サイト基準日前のため、前日比較は行いません
と表示しています。
数字はある。
でも、あえて比較しない。
自動化してみて初めて、
「取れる数字」と「判断に使っていい数字」は別物
ということを、仕組みとして決める必要が出てきました。
「キーイベント」をそのまま問い合わせ件数にはしなかった
問い合わせ件数も同じです。
GA4にはキーイベントという指標があります。
でも、自分が日次レポートで知りたいのは、
「昨日キーイベントが何件あったか」
ではありません。
昨日、問い合わせが何件あったのか。
自社サイトでは、問い合わせ完了時に generate_lead を送るようにしています。
だったら、日次レポートで問い合わせとして数えるのは generate_lead です。
これも、人間がGA4を見ているときには自然に区別していることかもしれません。
でも機械に任せるなら、
「何を問い合わせと呼ぶのか」
まで決める必要があります。
自動化を進めるほど、自分が普段どんな前提で数字を見ているのかを言葉にする必要が出てきました。
どうせやるならSEOも自動化したい
GA4だけで終わらせるつもりはありませんでした。
どうせやるなら、SEOも自動化したい。
Search Consoleの取得データから、表示回数はあるのに順位が弱い検索語、順位は悪くないのにCTRが低い検索語、あと少しで検索結果の1ページ目に届きそうな検索語。
そういった改善候補になりそうなキーワードを抽出する。
さらに、
「だったら次は、こんな記事を書いたらどうか」
までAIが提案できたら面白い。
そんなことを考えて、Search Consoleも組み込みました。
ただ、ここでもGA4と同じ感覚では扱えません。
Search Consoleの通常のパフォーマンスデータは、GA4より遅れて利用可能になることがあります。
しかも、リニューアル直後は旧サイト時代の検索データも混ざっています。
なので、
旧サイトの期間を含む検索データは、新サイトの日次改善判断には使わない
という条件も入れました。
「データがある」と「そのデータを今の判断に使っていい」は、やっぱり別の話です。
数字だけではUI/UXは分からない
もうひとつ、最初から考えていたことがあります。
GA4やSearch Consoleだけでは、UI/UXは分かりません。
だから、サイトそのものを見る仕組みも必要だろうと思っていました。
現時点では、まずサイトマップからページを巡回する仕組みを作っています。
HTTPステータス、リダイレクト、noindex、canonical、description、内部リンク上で孤立している可能性のあるページ。
といった技術的な状態を確認します。
実際に自社サイトを巡回すると、確認した方がよさそうなページも出てきました。
ただ、これはUI/UXそのものを評価しているわけではありません。
数字だけでは見えないサイト側の状態を見る、最初の一歩です。
UI/UXまでどこまで見られるようにするかは、まだこれからです。
気づけば、サイト全体を見る仕組みになっていた
こうして、GA4、Search Console、サイト監査、改善候補を一つにまとめていきました。
さらに、
「改善候補まで出せるなら、そのまま直せばいいのでは?」
という話も出てきます。
でも、そこは分けることにしました。
改善提案には、
「改善まで自動実行」
「修正指示だけ作る」
「あとでリマインド」
「今回は見送る」
という判断を持たせています。
AIが問題を見つけても、そのまま本番を書き換えるわけではありません。
改善するかどうかは、人間が決める。
クライアント案件へ横展開することを考えても、ここは重要だと思っています。
自動化できることと、自動化していいことは別です。
ChatGPTで見たかったのに、途中でGmailがちょうどよくなった
分析結果は、本当はChatGPTで見たいと思っていました。
それもMCPを試したかった理由のひとつです。
ただ、構築していく途中で、
「一度Gmailを挟む」
という話になりました。
そこで、
だったら日次レポートはメールでいいのでは?
となりました。
Gmailなら履歴として残ります。
あとから遡れます。
必要になったときは、Gmailのプラグイン経由でChatGPTに読み込ませて相談できます。
それならメールという形も意外と便利です。
実際の日次レポートは、こんな感じになった
例えば、稼働初日の9月19日分はこんなレポートになりました。


ここで見たいのは数字の大小ではなく、どの数字を判断に使うのかという設計です。
この日のレポートでは、9月18日が移行・検証日だったため前日比較は実施せず、Search Consoleも旧サイト期間を含むため日次改善判断には使わない、としています。
さらにサイト監査では37ページを確認し、Soft 404候補や旧URLなど、対応を検討したい項目まで出しました。
「昨日は何人来ました」で終わるのではなく、
今日、自分が何か確認する必要があるのか
まで近づけたかったからです。
画像キャプション:
実際にGmailへ届いた日次レポート。アクセス状況だけでなく、前日比較の可否、Search Console、サイト監査、対応候補までまとめている。
毎朝7時30分に、自動で届く
ここまでできたので、Cloud Schedulerで自動化しました。
現在は、7時15分に日次データを保存し、7時30分に前日分の日次レポートを生成してGmailへ送信する流れです。
まず自分でメール送信をテストして、届いたことを確認。
次にSchedulerから手動実行し、そこからもメールが届くことを確認しました。
一つずつ動作を確かめて、ようやく一連の自動経路ができました。
ここまでやって、ようやく最初のMCPに戻る
さて。
最初にやりたかったMCPはどうなったのか。
クラウド側のMCP環境までは作りました。
サイト全体の分析結果、GA4概要、SEO改善候補、サイト監査、改善判断の取得・保存。
そこまでは準備できています。
あとは自分のMacから接続するところです。
……が、現在シルバーウィーク。
妻の実家に帰省しています。
今回やりたかったMCP接続は、自分のMac上のCodexローカル環境で設定する必要があります。
仕事部屋にあるMac miniが使えないので、ここから先は帰宅後に回しました。
ということで、MCP接続は帰宅後。
技術的に詰まって止まっているわけではありません。
ただ、家にいないだけです。
振り返ると、まあまあ迷走している
MCPを試したかったはずが、気づけばGA4、Search Console、サイト監査、Gmailまで作っていました。
かなり寄り道しています。
でも、自社サイトだからこそ、こういう進め方ができます。
試してみて、違ったら変える。
良さそうなら残す。
使えそうならクライアント案件へ持っていく。
自社サイトを実験場にしたかった理由は、まさにここにあります。
自動化して、一番よく見えたのは「人間が判断しているところ」だった
今回やってみて感じているのは、数字を集めること自体はかなり自動化できる、ということです。
GA4から取れる。Search Consoleから取れる。サイトを巡回できる。レポートも作れる。毎朝メールも送れる。AIなら、その先の改善候補を考えるところにも入ってこられます。
一方で、この数字とこの数字を比較していいのか、何を問い合わせと呼ぶのか、この検索データを今の判断に使っていいのか、見つかった問題を本当に直すべきなのか。
そこには、人間の判断が残ります。
むしろ自動化しようとしたことで、自分が普段どこで判断しているのかが、前よりはっきり見えるようになりました。
ウェブ解析そのものを自動化するというより、
ウェブ解析に必要な判断材料を、自動で揃える。
今のところ、自分の感覚にはこの表現の方が合っています。
まずは、一つだけでもいい
今回作ったものを、最初から全部真似する必要はないと思います。
自分も「MCPやってみたい」から始まっただけです。
例えば、
昨日のセッション数と問い合わせ件数だけ、毎朝自分に届くようにする。
そこからでも十分です。
一つ自動化すると、
「だったら、これもできるのでは?」
という次の問いが出てきます。
自分の場合、それを繰り返していたら、ここまで来ました。
MCP接続もまだ残っています。
UI/UXをどう見るかも、これからです。
つまりこれは、完成したシステムの紹介ではなく、まだ続いている実験の途中経過です。
自社サイトでしばらく運用して、使えるところまで育ったら、クライアント案件にも横展開していくつもりです。
今回の実験で改めて感じたのは、数字を集めることより、その数字をどう判断に使うかの方が難しいということでした。
これは自社サイトでも、普段のクライアント支援でも変わりません。
今年の秋は、しばらくこの自由研究が続きそうです。
数字を集めた先の、改善の判断を相談したい方へ
レポートは届いている。でも、どの数字を見て、何から改善すればよいのかが決まらない。そんなときは、集計方法だけでなく、事業の目的に合わせて指標と改善の優先順位を整理するところからお手伝いできます。
markeTransの継続マーケティング支援では、アクセスなどの分析結果を共有し、次に取り組む施策をご提案します。自動化する範囲も、現在の運用に合わせて一緒に考えます。
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