ペルソナをつくったけれど、サイトや提案書で何を伝えるかは決まらない。そんなときは、人物像の細かさより、仕事を依頼する場面が描けているかを見直します。
第3回では、顧客を分け、優先する相手を選び、判断に使える顧客像へまとめます。年齢や趣味を増やすことが目的ではありません。相手が何に困り、どんな条件で選ぶのかが分かることを目指します。
顧客を、必要としている仕事の違いで分ける
同じ記事制作でも、制作会社からの依頼と、事業者からの直接依頼では、求められる役割が変わることがあります。構成や指示が決まっている仕事もあれば、何を伝えるかから一緒に考える仕事もあります。
また、検索から見つけてもらう記事、取材で事業者の考えを伝える記事、既存資料を読みやすく整理する記事では、進め方や確認事項が異なります。
こうした違いで顧客を整理するのが、セグメンテーションの考え方です。業種や企業規模だけで分けるより、「どの段階で、何を任せたいか」に注目すると、提供する仕事とのつながりが見えやすくなります。
優先する相手を、事業の条件と合わせて選ぶ
すべての顧客に同じ提案をするのは難しいものです。必要とされる価値に応えられるか。出会う方法があるか。費用と時間の両面で続けられるか。目指す事業の姿と合っているか。これらを合わせて、まず注力する相手を選びます。
ふじねさんとの検討では、事業者に身近な存在として関わる方向と、事業者から直接相談を受ける仕事とのつながりを考えました。これは、制作会社経由の仕事が劣るという意味ではありません。自分が築きたい関係と提供体制に照らして、優先順位を決める話です。
優先する相手を選ぶことは、ほかの依頼を永久に断る宣言でもありません。まず試す範囲を決め、実際の相談や採算を見ながら更新していきます。
ペルソナには、意思決定の場面を書く
人物像をまとめるときは、次の項目を先に書きます。分からない項目は、想像で埋めずに確認事項として残します。
- 相談を考え始めたきっかけと、現在の困りごと。
- 仕事を頼んだ後に、実現したい状態。
- 比較している選択肢と、重視する条件。
- 費用、品質、進め方についての不安。
- 誰が決め、誰が確認し、誰が実務を進めるか。
- 依頼前に用意できる資料と、用意が難しいもの。
たとえば説明用の仮説として、「自社の強みを発信したいが、経営者の考えが整理されておらず、社内に編集担当もいない事業者」を置くとします。必要なのは完成原稿の見本だけではなく、聞き取りから公開までの進め方や、確認の負担についての説明かもしれません。
これは架空の検討例です。実際の顧客像にするには、相談記録やインタビューと照らし、どこまで当てはまるかを確かめます。
顧客像を、ページと提案の判断に使う
顧客像ができたら、それを使って具体的な判断をしてみます。サービスページの最初に何を書くか。事例では何を示すか。問い合わせでどこまで入力してもらうか。
原稿の準備が負担になっている相手なら、「素材がそろってから相談してください」という案内は障壁になる可能性があります。反対に、明確な仕様に沿った制作を求める相手なら、対応範囲や納期の説明が先に必要でしょう。
ここまで判断が変わって初めて、ペルソナが実務に使われています。人物設定の完成度より、伝える内容と提供する仕事が相手に合うかを確かめます。
第3回で残すのは、顧客像と確認する問い
優先する相手を短い文章でまとめ、その人が迷う点と、まだ分かっていない点を添えます。次の相談で何を聞くかまで決めると、顧客像を更新できます。
次回は、その相手にどんな価値を約束し、何を根拠として示すかを整理します。
このシリーズは、ライターのふじねさんとの戦略づくりの対話をもとに再編集しています。
初出:2023.12.11/再編集:2026.09.15
