目的、顧客、選ばれる理由が整理できたら、何を実行するかを決めます。ここで急に「毎日SNSを投稿する」と手段だけの話に戻らないことが大切です。

最終回では、顧客が知ってから依頼し、継続するまでの流れを見ながら、施策と指標を結びつけます。計画を完成させることより、実行して見直せる形にすることを目指します。

提供する仕事と、相手の負担を一緒に考える

4Pは製品・価格・流通・販促を整理する枠組みです。これを顧客側から見直す4Cの視点も使うと、提供者の都合だけになっていないかを確かめられます。

サービス内容に対して、相手はどんな価値を受け取るのか。価格に対して、支払う金額以外にどれほど準備や確認の負担があるのか。どこで相談でき、どう情報をやり取りするのか。それぞれを行き来して考えます。

記事制作なら、原稿料だけでなく、資料の準備、取材の日程調整、社内確認も依頼者の負担になります。何を任せられ、何を用意すればよいかが分かること自体が、相談しやすさにつながります。

顧客の行動と、迷いが生まれる場所を並べる

知る、興味を持つ、比較する、相談する、依頼する、再び頼む。流れを書き出し、それぞれで相手が何を知りたいかを整理します。ただし、すべての人が同じ順番を通るわけではありません。紹介を受けて直接相談する人も、何度も比較に戻る人もいます。

ふじねさんとの検討では、地域のつながりや紹介、SNS、既存顧客との関係などを、仕事につながる接点として考えました。大切なのは接点の数を増やすことではなく、相手の次の判断に必要な情報を届けることです。

  • 知ってもらう段階:誰のどんな相談に応じる人かが分かるか。
  • 比較する段階:対応範囲、進め方、事例を確かめられるか。
  • 相談する段階:準備が整っていなくても相談できるかが分かるか。
  • 依頼後:成果物の使い方や、次に相談できることが伝わるか。

この問いをもとに不足を探すと、投稿を増やすより、サービス説明を直す方が先かもしれません。実際の相談で迷われた点から優先順位を決めます。

目標を分解しても、因果関係までは分からない

売上を平均単価と受注件数に分けると、何を確認するかが見えます。説明用の仮の例として、平均単価5万円、年間48件なら年間売上240万円です。

ただし、相談数を増やせば、そのまま受注も増えるとは限りません。相談の内容が合っているか、提供できる時間があるか、継続依頼をどう数えるかも関係します。目標を分解した式は、点検する場所を見つける道具であり、施策の効果を保証するものではありません。

KGIを最終的に目指す成果、KPIをそこへ進む状況を確認する指標として置きます。期間と数え方をそろえ、売上と利益を混同せずに扱います。

数字を見る切り口と、数えるものを分ける

Webでは、相談完了件数や訪問数などの指標を、流入元や閲覧ページなどの切り口で見ます。「何を数えるか」と「どう分けて見るか」を分けると、確認したいことが明確になります。

たとえば相談数が増えていても、事業に合う相談が増えているかは、フォームの数字だけでは分かりません。相談内容や受注後の情報と照らします。小さな増減をすぐに成功・失敗と決めず、期間や件数、季節性も考慮します。

最初に実行することを、3つまでに絞る

最後に、まず取り組む施策を少数に絞ります。それぞれに、解決したい迷い、変更する内容、担当者、期限、確かめる指標を添えます。

たとえば、相談前によく聞かれる質問をサービスページに追加し、次の一定期間で同じ質問の頻度や相談内容を確認する。こうした小さな実行でも、顧客理解と情報の改善をつなげられます。

全5回でつくったものは、固定された正解ではありません。仕事を通じて新しい事実が分かったら、顧客像や約束まで戻って更新します。戦略は、考えた内容を実行し、その結果から次を判断するために使うものです。

第4回:ブランドを、顧客への約束として言葉にする

第1回から読む:事業の目的と、目指す状態をそろえる

GA4の数字を、改善の優先順位に変える

このシリーズは、ライターのふじねさんとの戦略づくりの対話をもとに再編集しています。

初出:2024.05.07/再編集:2026.09.15