Instagramで投稿を見る。
プロフィールからWebサイトを開く。
その日は何も申し込まずに閉じる。
8日後、Googleで会社名や施設名を検索して、もう一度サイトへ来る。
こういう動きは、GA4で追えるのでしょうか。
私もSNSの効果を分析していて、まさにこれを知りたくなりました。
ある採用サイトでSNS接触者のその後をBigQueryで調べたところ、Instagram接触後に自然検索で再訪したと確認できたユーザーが3人いました。SNS接触から自然検索で戻るまでの平均は約8.2日でした。
人数としては小さいです。
でも、この3人の意味を正しく理解するには、「GA4で追えた」と「実際に3人しかいなかった」を分ける必要があります。
結論を先に言うと、
同じユーザーとして識別できている範囲なら追える。ただし、全員を追えるわけではない。
です。
まず、何を「同じユーザー」としているのか
GA4は、人間を顔や氏名で見分けているわけではありません。
Webでは、_ga CookieのClient IDなどをもとにしたDevice IDが、ユーザーを識別する材料の一つになります。
だから、
Instagramからサイトへ訪問
→ 同じブラウザ環境で数日後にGoogle検索
→ 再訪
という動きなら、同一の疑似ユーザーとしてつながる可能性があります。
BigQuery Exportではuser_pseudo_idなどを使ってイベントを時系列に並べられるので、
「最初にSNSから来た人が、その後どのセッションを持ったか」
を自分たちの条件で調べることができます。
今回は、ユーザーごとの「その後」を並べた
今回の分析では、まずSNSに接触したユーザーを抽出しました。
そこから、後続のセッションを時系列で見ます。
- 次の訪問はあったか
- 何日後だったか
- どのsource / mediumで戻ったか
- 募集・研修ページを見たか
- 予約ページへ進んだか
その中で、Instagram接触後に自然検索から再訪したと識別できたユーザーが3人いました。
平均8.2日という結果から、「Instagramユーザーは8日後に検索する」とは言えません。
母数が小さいからです。
ただ、少なくとも、
SNS接触 → その場ではCVしない → 数日後に検索して戻る
という行動が、観測可能なデータの中で実際に存在したことは確認できました。
では「自然検索再訪は3人」と言っていいのか
ここが一番重要です。
私は「3人しかいなかった」とは書きません。
書けるのは、
現在の計測環境で、同じユーザーとして接続できたケースが3人見つかった
までです。
なぜなら、実際のユーザーは同じブラウザだけを使うとは限らないからです。
Instagramのアプリ内ブラウザで最初に見る。
後日Safariで検索する。
職場のPCでもう一度見る。
人間としては同じ1人です。
でも、ログインを使ったUser-IDなどがなければ、それらを必ず1人としてつなげられるわけではありません。
「追えなかった」と「起きなかった」は別
Web解析で、私はこの区別をかなり大事にしています。
GA4にない。
だから存在しない。
とは限りません。
反対に、
「計測できていないだけで、本当はたくさんいるはず」
と想像だけで成果を膨らませるのも違います。
今回なら、
- 3人は実際に同一ユーザーとして観測できた
- それ以外にもブラウザ・デバイスをまたいだ再訪が存在する可能性はある
- しかし、その人数は現在のデータからは分からない
ここまでを分けて扱います。
観測値を最小確認値として扱い、見えない部分は見えないと書く。
地味ですが、分析の信頼性はここで決まります。
この結果で、施策の見方はどう変わったか
直接CVだけを見ていたときは、「SNSからCVしていない」で終わります。
再訪を調べると、SNS接触後に時間を置いて検索し直す人がいることが分かりました。
すると改善対象も変わります。
SNS投稿だけを改善するのではなく、
- 後日会社名・施設名を検索されたときに公式サイトが見つかるか
- 指名検索で着地したページに十分な判断材料があるか
- Instagramで見た情報とWebサイトの内容がつながっているか
も見る必要があります。
つまり、分析の目的は「SNSの功績を探す」ことではありません。
ユーザーの行動仮説が変われば、次に改善する場所も変わる。
そこが大事です。
追跡精度を上げる方法はある。でも万能ではない
UTMパラメータを適切に付ければ、SNSから来た最初のセッションを識別しやすくできます。
ログインサービスならUser-IDを使える場合もあります。
BigQueryならセッションをまたいだ分析を柔軟にできます。
それでも、オンライン・オフラインを含めたすべての接点を完全につなぐことはできません。
人はSNSだけで意思決定しているわけではありません。
同僚から話を聞く。検索する。口コミを見る。一度忘れる。また思い出す。
GA4は、その人生を完全再現するツールではありません。
だから私は、解析データを顧客行動そのものではなく、顧客行動を考えるために観測できた一部分として扱っています。
「何人いたか」より、「どこまで言えるか」
今回見つかったのは3人でした。
記事として派手な数字ではありません。
でも、私にとっては十分意味のある結果でした。
SNS接触者が後日検索し直すという仮説が、少なくとも実例として観測できたからです。
そして同時に、ブラウザをまたげば追えない可能性があることも分かった。
追える範囲を広げることと、追えない範囲を理解すること。
どちらか一方ではなく、両方が必要です。
GA4でユーザーを追うとき、最終的に問われるのは「全部見えたか」ではなく、今見えているデータからどこまで言ってよいかだと思っています。
関連する知見
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計測できる範囲を広げながら、計測できない部分まで含めて施策を判断します。
