SNSからWebサイトへ来たユーザーを調べたら、直接のコンバージョンは0件だった。
この結果を見て、どう判断するでしょうか。
「SNSは問い合わせにつながっていない」
これは間違いではありません。
少なくとも、今回の計測でSNSから直接CVしたユーザーを確認できなかったのは事実です。
でも、その次に「だからSNSには成果がない」と続けるには、少し情報が足りません。
ある採用サイトで約500人のSNS接触ユーザーを分析したところ、直接CVは0件でした。一方で、約30人が募集情報へ、約40人が研修関連情報へ進み、少数ながら見学・相談につながるページへ到達したユーザーや、後日再訪したユーザーも確認できました。
この分析で一番重要だったのは、SNSの成果を無理に証明することではありません。
「0件」という数字が、何を0と数えたものなのかを分解することでした。
直接CVが0件、はそのまま受け止める
最初に、都合の悪い数字を言い換えないことから始めます。
SNS接触ユーザーから直接CVが確認できなかった。
これは0件です。
「認知には効いているはず」「採用だから時間がかかる」で打ち消すべきではありません。
一方で、0件が示しているのは、あくまで設定した計測条件における最終CVです。
その人たちがサイト内で何を見たのか、後日戻ったのかまでは別の問いです。
私はここを、事実と解釈を分けるようにしています。
事実:SNSから直接CVしたと確認できた人は0人だった。
解釈:SNSは採用に寄与していない。
下の文まで言うには、上の数字以外の材料も必要です。
「接触→検討→成果」の3段階で見る
SNSの効果測定では、私は大きく3段階に分けます。
1. 接触
SNSからサイトへ来たか。プロフィールや投稿からどれくらいWebへ移動したか。
2. 検討
募集概要、サービス詳細、事例、料金、研修内容など、意思決定に必要な情報へ進んだか。
3. 成果
問い合わせ、見学、面談、応募、購入など、事業上の成果へ到達したか。
最終成果だけを見ればシンプルです。
でも、改善するには途中も必要です。
接触は多いのに検討ページをほとんど読まれていないなら、SNSとWebサイトのつなぎ方を疑います。
検討までは進むのに成果へ行かないなら、CTA、フォーム、オファー、そもそもの検討期間などを見ることになります。
実際のデータでは「何も起きていない」とは言えなかった
今回の分析では、SNS接触者は約500人。
そのうち、採用・募集関連のページへ進んだ人、研修情報を見た人、予約ページまで到達した人、後日再訪した人がいました。
割合だけ見れば大きくありません。
それでも、直接CV 0件という数字だけから想像する「全員が何もせず帰った」という状態とは違います。
ここで得たのは、「SNSは成果がある」という結論ではありません。
SNS接触後に、検討行動へ進むユーザーが存在するという観測です。
この差は重要です。
SNSは最後の流入元にならないことがある
採用やBtoBのように、その場で即決しにくいサービスでは、SNSを見てすぐ問い合わせるとは限りません。
Instagramを見る。
いったん閉じる。
数日後に施設名・会社名を検索する。
Webサイトを読み直す。
他と比べる。
その後に問い合わせる。
この場合、問い合わせにつながった後日のセッションはOrganic Searchなど、SNSとは別の流入として見えることがあります。
SNSが最初のきっかけだったとしても、後続セッションの流入元だけでは最初の接点まで分からないことがあります。
実際、今回の分析でもSNS接触後に自然検索で再訪したと確認できるユーザーが少数いました。
ただし、ここでも慎重さが必要です。
その再訪がSNSによって生まれた、と因果関係まで証明できたわけではありません。
「SNSのおかげ」とも言い切らない
中間行動が見えた途端、今度は逆の解釈をしやすくなります。
「ほら、SNSは効いていた」
これも少し早い。
もともと施設を知っていて、たまたまSNSにも接触した人かもしれません。
SNSがなくても募集ページを見たかもしれません。
今回観測できたのは、
SNSに接触したユーザーの一部が、その後に検討につながり得る行動を取ったこと。
ここまでです。
効果測定で大切なのは、自分たちに都合のよいストーリーを作ることではありません。
データから言える範囲と、まだ仮説でしかない範囲を分けることです。
SNSのKPIを1本にしない
こういう分析をしていると、「ではSNSのKPIは何にすればいいですか」と聞かれます。
一つに決める必要はないと思っています。
認知段階ならリーチやプロフィール接触。
Webへの接続ならクリックやSNS経由セッション。
検討なら重要ページ到達や再訪。
成果なら面談・問い合わせ・応募。
役割が違う指標を一列に並べて、フォロワー数だけで良し悪しを決めない。
一方で、最終成果を永遠に見ないのも違います。
SNSが顧客の意思決定のどこを担うのかを決め、その役割に合った数字を見る。
これが今回の分析から得た一番大きな整理です。
「0件」は分析の終点ではなく、次の問い
直接CVが0件だった。
そこでレポートを閉じることもできます。
でも私は、むしろそこから分析を始めました。
何人来たのか。
何を読んだのか。
どこまで進んだのか。
戻ってきたのか。
計測上、見えていない動きはあり得るのか。
0を成果がある数字に変換するのではなく、0の中身を調べる。
SNSの効果測定で必要なのは、施策を擁護することではなく、次の判断ができるところまで数字を分解することだと思っています。
関連する知見
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SNSの投稿単体ではなく、Webサイトでの検討行動まで含めて評価します。
